眠り姫は王子に愛される





志緒がお迎えの連絡を入れてくれたので、その場所まで再び歩いていると。



「すみませーん」



向かって歩いて来た人に声を掛けられた。



「何ですか?」



すかさず志緒が私を隠しつつ、にこやかに対応する。



「今、カップルスナップの企画をしてるんですけど、取材協力してもらえませんか?」



今回はナンパ目的ではなかったようで。


志緒の格好良さが街中で目立っていることには気付いていたが、学生であることは明らかなので声を掛けてくる人は居なかった。

けれど、その格好良ささえあれば、こういうことはよくあることなのかもしれない。


私はほとんど外に出かけないので目の前でカメラを抱えた人が声を掛けて来たことに驚きを隠せない。



「すみません、カップルじゃないので」



嘘をつかずに正直な理由で企画に相応しくないから断ったのに、驚きの表情で「てことは兄妹…?」と小さく呟いていた。




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