眠り姫は王子に愛される





そんなに兄妹に見えるのだろうか。


確かに志緒は背が高くて同じ年齢には見えないけれど、だからと言って私たちの顔が似ているかと訊かれたら絶対にノーだ。


正直、兄妹だと言われることに、さっきも今も不愉快な思いをしている。

大声で否定したい衝動に駆られることの理由は分からないけれど、とにかく違うと叫びたかった。


志緒は私を隠すように会話をしているので、私がいかに不機嫌な表情をしているかは誰も知らないだろう。

それが、眠気を我慢しているときよりも深く刻まれていることは自覚すらしていなかった。



「兄妹でもないですけど、とにかく取材はお断りします」



最後の最後まで志緒の笑顔は、きっと向けられた人には完璧な笑顔だったのだろう。


しかし、斜め下から見えた私視点に限っては、あらゆる不満を隠した黒さが見えていた。


そして、その不満を抱く気持ちが何となく私にも共通しているように思う。

上手く言い表せないけれど、志緒と兄妹なのは嫌だ、と反射的に感じた。


気付けば手を引かれて離れたところに居たけれど、モヤモヤは晴れないまま。




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