眠り姫は王子に愛される
「志緒はこの家の中に居るんですか?」
「はい、もうすぐお休みになると思います」
「……一緒に寝たいって言ったら、邪魔になるのかな…」
ぽつり、零した呟きが寂しく溶けることはなく、御堂さんが優しく微笑んで受け止めてくれた。
それだけで少し、不安な心が晴れていく。
お話をしながらゆっくりココアを飲み干すと、志緒の居る部屋まで案内してくれた。
こんな時間に付き合わせてしまって申し訳なかったけれど、「お役に立てて良かったです」と最後まで優しさに溢れていた。
御堂さん、美人で優しくて仕事も早くて大好き。
案内された部屋へ背後からこっそり入る。
電気が付いたそこではたくさんの資料を机に並べて、PCと向き合う志緒が居た。
資料をまとめているらしく、大量に本とプリントが机上にあるのに、散らばっていないところは志緒の几帳面さを伺える。
背中を見つめるだけで伝わる真剣な雰囲気は、声をかけることを躊躇させた。