眠り姫は王子に愛される
結局抱き上げられたまま寝室まで戻り、広いベッドに入る。
私が抜けだしてから時間が経ってリセットされた布団の冷たさ。
でも、夢から覚めた時よりも、寂しくも怖くもなかった。
「志緒、今日はちゃんと抱きしめててね」
「わかった」
「ねえ、志緒…」
「なに?」
「もう勝手に布団から抜けないでね」
「うん、隣に居るから安心して眠って」
「志緒…」
「湖宵の声も表情も可愛すぎて、これ以上は襲っちゃいそうだから、しー」
志緒がまた離れて行かないように、子どものように話しかけていたけれど。
しー、と言いながら、志緒は口を塞ぐ代わりに強く引き寄せた。
慣れた体温に簡単に落ちていく。
――ねえ志緒、私ね……