眠り姫は王子に愛される
言いたかった言葉は伝えるべきだったのか否か。
話すことを塞がれた私は、黙って目を瞑ると、瞬間に眠りについてしまった。
そんな恐怖と寂しさに怯えた夜は過ぎて。
次の日は志緒が百合ちゃんに怪談を離さないように強く言い聞かせていた。
あれから志緒はしっかり抱きしめて眠ってくれるようになり、それでも怯えているときには瞳にキスをしてくれるようになった。
漸く怖さも引きずらなくなって、平穏に戻った頃。
珍しく志緒が学校のある普通の平日だというのに、仕事に出向いて一緒に登校しなかった。
隣の席に安定の人が居ないというだけで景色が変わる。
よく志緒の方を向いていることに初めて気付くくらい、志緒の居る方向に目を向ける度に少し寂しく感じた。