眠り姫は王子に愛される





今日は志緒が居ない分、真面目に授業を受けないと。

意気込んで授業を受けたから、眠ることなく受け切ることはできたけれど、今日も先生たちは私と目が合うたびに驚いていた。

そして、意気込んだのに私が当てられることもなかった。


そんな感じでお昼休みになり、百合ちゃんとお昼ご飯を食べにレストランへ向かう。


この学校はお金持ちが集まるだけあって、庶民的なお弁当を持ってきている人は多分居ない。
持って来ているとしても、お重で素晴らしい装飾に手の込んだもの。


たいていの人は学校内にあるレストラン街の中から好きなところを選び食べる。


勿論ファミレスという私向けのお店はなくて、テーブルマナーがしっかりしているフレンチレストランや、高級で豪華な食材を扱った料亭など。


外からの雰囲気も一見さんお断りなのでは、という厳かな雰囲気で敷居が高すぎて、私は最初怯えてお昼ご飯を諦めたくらい。

結局、それは駄目だと志緒がオススメしてくれたお店が個室だったので、それ以来人の目が気にならない個室のお店を選ぶようにしている。


今日は何を食べようかと話しながら百合ちゃんと歩いていると、



「貴女が天瀬さん?」



不意に声を掛けられた。




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