眠り姫は王子に愛される
「どうして、志緒が謝るの?」
「僕のせいで呼び出されたから」
「違うよ、志緒のせいじゃない!」
「湖宵、」
「私が、弱いからだよ…」
そうだ、志緒の隣に立って恥ずかしくない人間というのは、見た目だけの話ではない。将来を約束された人間にはそれ相応の責任も伴う。
私が志緒の言うように婚約者ならば、その自覚があるのなら、私もその責任を負える人間にならなければならないのだ。
このまま甘えて、甘やかされているのはとても楽で、居心地が良いけれど。
志緒が背負っているものの1%だけでも理解出来たら、それだけでもっと喜んでくれると思うから。
私がいつも志緒に助けてもらって感謝している気持ちを、私も志緒に与えたい。
要するに、私はもっと志緒の助けになりたいし、志緒のことを知りたいのだ。
「志緒、私もっと頑張るね!」
「湖宵はいつも頑張ってるよ?」
「うぅ…志緒はやっぱり私を甘やかしすぎだと思う…」
「そうかな?」
「でもね!私が勉強して、志緒の支えになれたら、志緒は少しだけでも楽になるでしょ?」
私のその提案に志緒は予想外にも困ったように笑って。
「湖宵はそんなことしなくていいよ」
その提案に頷いてはくれなかった―――……