眠り姫は王子に愛される
夢の時間を手に入れる代償は
*
「えーっと、この場合の対応は…A!」
「湖宵様、お勉強は順調のようでございますね」
「うーん、まだ基礎中の基礎だから何とも…」
志緒には反対されてしまった経営に関する勉強を始めて早数週間。
普段の勉強だけでも手一杯なのに、さらに覚えることが山積みで毎日頭がパンクしそうになりながらも机に向かっている。
これを勉強して志緒の力になれるのかは正直分からない。
でも、自己満足だとしても少しでも志緒の世界を知れることが嬉しかった。
ただし———……
「ただいま」
「志緒っ!おかえりなさい!」
最近ずっと忙しいのか、志緒と一緒に帰ることがない。
放課後になればそれぞれにお迎えが来て、志緒は会社へ。私だけ真っ直ぐお家へ帰り、志緒が帰って来るまでお勉強タイム。
「湖宵は今日も課題?」
「う、うん、最近学校の勉強が難しくて復習しないとテストで悪い点取っちゃいそうだから…」
ただし、経営の勉強を始めたことは志緒には内緒にしている。