眠り姫は王子に愛される
「今日の小テスト満点だったのに?」
「それも勉強したからだもん」
「そうなんだ、偉いね湖宵は。でも前にも言ったけど、分からないところがあったら僕が教えるよ?」
「志緒は忙しいんだから少しは休んで!」
志緒は私より断然忙しいのに、それでも私に構いたがる。
疲れているはずなのに、それを微塵も感じさせない振る舞いで誤解しそうになる。
けれど、実際の志緒の1日はこうだ。
一緒に学校へ行って、真面目に授業を受けて、その後にまた会社でノウハウを受ける。そして帰って来ても私の課題に付き合いながら仕事をこなす。
志緒も同じ課題を出されているはずなのに、一緒に向かっている姿は見たことがない。
いつでも効率よく物事を精査して行動しながらも、大量の仕事を抱えている。
一緒にベッドに入って眠るけれど、朝は私よりも早くに起きて綺麗な笑顔で私を起こしてくれる。
寝起きの悪い私に根気強く付き合って、不機嫌な私にもイライラせずに頭を撫でてくれる。
きっと、私が起きるよりも先に少し仕事を片付けてから朝を迎えている。
経営の勉強を始めて、難しいことも多いからこそ改めて感じた志緒のすごさ。
だから、本当は志緒こそ睡眠を取るべきで、私が迷惑をかけて仕事を増やすわけにはいかない。