授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「あ、今笑ったぞ」

「え? ほんとですか?」

覗き込む黒川さんにも翔太君がよく見えるように身体を向ける。

「ふふ、可愛い……」

すると、そんな私たちを見ていた光弘さんが「あ」と小さく声を漏らした。

「たぶん、近い将来同じような光景をまた見ることになるような……そんな気がする」

まるで予言者のように光弘さんがぽつりと呟く。普段、あまり冗談を口にしないような人から言われるとなぜだか真に受けて意識してしまう。

そ、それって……もしかして私と黒川さんの間に――ってこと?

チラッと気づかれないように黒川さんの顔を覗き見る。すると、どことなく照れくさそうなはにかんだ表情をしていて、私の視線に気がつくと行き場のない笑みを私に向けた。

もしかして黒川さんも、同じこと……考えてたりする?

「俺、そろそろ出かけないと……黒川先生たちはゆっくりしていってください」

スマホで時間を確認した光弘さんがお土産のお礼を言って上着を羽織る。

「じゃあ、俺たちも行こうか」

時間が経つのはあっという間だ。もう一時間近くいることに気がついてハッとする。産後はなにかと体力を消耗して疲れやすく、聖子も気疲れしてしまうかもしれない。

「そうですね。じゃあ、私たちもそろそろ行くね。今日はありがとう」

お店のことは任せてね。と付け加えて、私たちは聖子のマンションを後にした。
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