授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「実はまだなにも決まってなくて籍も入れてないんです。あ、あの、大丈夫ですから」

「そう? 困ったことがあったら何でも言ってちょうだいね」

ベーカリーカマチの人たちに、黒川さんと婚約したことを伝えるとみんな手放しで喜んでくれた。早々に父にも報告しなければならないと思っている。結婚はふたりだけのことじゃないから、入籍はちゃんと両家に挨拶が済んでからにしたいという私の意向に黒川さんも頷いてくれた。

聖子には「菜穂の子ども、翔太と同級生にしよう!」なんて気の早いことまで言われる始末。

子ども……かぁ。

黒川さんは優しいし、きっと子煩悩だよね。あぁ、でも女の子だったらちょっと過保護になりそう……。

黒川さんのご両親ってどんな人なんだろ、そういえば一回も話しを聞いたことがないな……。

店頭に出来立てのパンを並べながら、いつ実現するかもわからない未来予想図にほわんとしていると。

「すみません。これ、いただけますか?」
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