授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「……菜穂、菜穂ってば!」

「えっ、あ、ごめん」

「だーかーら、あくまでも噂で一年前の話しだよ? それに、黒川先生と婚約してるのは菜穂なんだから」

「うん、そうだよね」

そうだ。彼の婚約者は私で私の婚約者は彼だ。不安になる必要なんかない。それに黒川さんはステキな人だもの、過去に女性と交際経験がないほうがおかしい。

そう自分で納得すると、だんだん気持ちも落ち着いてきた。

「あ、聖子、今月限定のパフェがあるよ。食べない?」

せっかくふたりで久しぶりに食事しているというというのに、なんだか穏やかじゃない空気になってしまった。これじゃ後味も悪い。

「うん!」

私の明るい声音にホッとしたのか、聖子はその誘いに笑顔で大きく頷いた――。
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