授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
ごめんね、ミミ。今度美味しいビーフジャーキー買ってあげるから。

あんパンを真ん中から二つに割る。そこで私の手がピタリと止まった。

上品で甘いこしあんが顔を出すかと思いきや、中にはあんこは入っていなかった。

え? これは……。

代わりにプラスチック製のカプセルが出てきて目を瞬かせる。パカッと音をさせてカプセルを開けて見ると、中に小さなメモ紙が入っていた。

【心配するな。とにかく今はお父様の言うことに従ってくれ】

短い一文に何度も何度も目を通す。これは黒川さんの字だ。スマホは繋がらなくて連絡手段にあんパンを使ったのだ。けれど、嬉しい反面、私はそのメモ紙に書かれた言葉に絶望を覚えていた。

お父さんの言うことに従ってって……それって、板垣さんと婚約しろって、そういうことなの?

いや、信じたくない。でも……。

まだ黒川さんと紗季さんの関係の疑惑が晴れたわけじゃない。

紗季さんと復縁するために私が邪魔になったんだ……。

そう思うと目頭が熱くなって、やり場のない感情と共に涙が零れ落ちた――。

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