授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
板垣さんはすでに私を外出に連れ出す許可を父から得ていた。浮かない顔では板垣さんに失礼だとわかっているのに、どうしても笑顔になれない。
「行きたい場所はありますか?」
助手席に座ってシートベルトを着けると、続いて運転席に板垣さんが乗り込んできた。彼は背が高くてガタイがいいせいか、車のドアを閉めると車内は圧迫した空気に包まれる。
「申し訳ありませんが、黒川さんの所には……」
「わかってます。あの、ベーカリーカマチへ行きたいんですけど」
どうせ黒川さんの所へは連れて行ってもらえない。わかっているのに念を押されて少しムッとしてしまう。
「ベーカリーカマチ? あぁ、あの前に空き巣事件があったパン屋ですか?」
「え、ええ」
そういう覚えられ方をされるとなんだか嫌な気持ちになる。事件のあった場所として記憶しているのは刑事の性だろう。
「わかりました。じゃあ、行きましょう」
そう言って板垣さんがアクセルを踏むと、滑らかに車が滑り出した。
「行きたい場所はありますか?」
助手席に座ってシートベルトを着けると、続いて運転席に板垣さんが乗り込んできた。彼は背が高くてガタイがいいせいか、車のドアを閉めると車内は圧迫した空気に包まれる。
「申し訳ありませんが、黒川さんの所には……」
「わかってます。あの、ベーカリーカマチへ行きたいんですけど」
どうせ黒川さんの所へは連れて行ってもらえない。わかっているのに念を押されて少しムッとしてしまう。
「ベーカリーカマチ? あぁ、あの前に空き巣事件があったパン屋ですか?」
「え、ええ」
そういう覚えられ方をされるとなんだか嫌な気持ちになる。事件のあった場所として記憶しているのは刑事の性だろう。
「わかりました。じゃあ、行きましょう」
そう言って板垣さんがアクセルを踏むと、滑らかに車が滑り出した。