授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
第二章 アタック宣言
ベーカリーカマチの閉店時間は二十時。

都心の店に比べると、少し閉店時間が早いようだけど、ここの商店街に並ぶ店もだいたいそのくらいの時間に店じまいする。

朝の早い聖子の両親は夕方には帰宅し、その後のことは聖子夫婦で切り盛りしてる。店を閉めるのも光弘さんの仕事。

「菜穂、初日お疲れ様! 慣れないことばかりで大変だったでしょ?」

「うん、まだまだ迷惑かけちゃうかもしれないけど、早く仕事を覚えるように頑張る」

「頼りにしてるよ~」

店のシャッターを閉め、聖子夫婦とはここで別れる。私は弥生さんに頼まれたパンの入った紙袋を胸に、「じゃあね」と聖子たちに手を振った。

そういえば、昼食べ損ねちゃったんだった……あぁ、お腹すいたなぁ。

仕事が無事に終わりふっと緊張が抜けると、ぎゅるる~とお腹の虫が鳴った。仕事中は髪の毛を結ってお団子ヘアだけど、今は下ろしていて無意識に髪の毛の匂いをスンスン嗅ぐとほんのりパンの匂いがしてますます空腹感が煽られる。

帰りに適当にコンビニ寄ってなにか買って帰ろうかな。

そんなことを考えながら商店街を抜けて小さな交差点にたどり着く。

あ、ここかな?
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