授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
検事が全員弁護士嫌いというわけではないけれど、なぜか父は昔から弁護士を嫌っている。同じ法律のスペシャリストなのには変わらないのに、仕事内容はまったくの正反対。有罪になれば検事が評価され、無罪になれば弁護士が評価される。仕事の成果も正反対なのだ。
今まで弁護士と付き合った経験はないけれど、彼氏を作る度に犯歴を調べようとしたり身辺調査をしようとしたり、それが原因でこっぴどくフラれてきた。
ひとり娘の身を案じてのことだというのは重々承知だけど、私だっていつまでも子どもじゃないんだし、自由に恋愛くらいしたい。だけど、父のせいで相手を傷つけたり嫌な思いをさせてしまったという過去の後ろめたさから、どうしても黒川さんには父のことは話せなかった。
「とにかくさ、せっかく告白してくれたんだから、返事くらいはしてあげなきゃ」
「うん、そうだね。でも、あの日はお酒も入ってたって言うのもあって、本心かどうかわからない。告白したこと後悔してるかもしれないし……」
なに弱気になってるんだろ、こんなの私らしくない。
告白された翌日も、その翌々日も黒川さんはいつもと変わらない笑顔で店に来てくれたというのに、むしろ意識してしまってぎこちないのは私のほうだ。
「菜穂ったら、黒川先生がお酒の勢いだけで女性を口説く人だと思う? うちのお父さんなんかいつもは無口だけどお酒が入ると人が変わったようにべろんべろんになって、普段言わないような馬鹿なこと言ったりするけど、黒川先生は絶対そんな人じゃないと思う」
黒川さんに疑念を抱いているわけではないけれど、父のことはさておきもう一度会って気持ちを確かめたかった。会いたいと思うのは、やっぱり彼のことが気になっている証拠だ。それは否定できない。
「そんな人じゃない」と聖子から背中を押されると、今まで萎れていたものが急にシャキッとする。私がコクンと頷くと、聖子もやんわりと微笑んだ。
今まで弁護士と付き合った経験はないけれど、彼氏を作る度に犯歴を調べようとしたり身辺調査をしようとしたり、それが原因でこっぴどくフラれてきた。
ひとり娘の身を案じてのことだというのは重々承知だけど、私だっていつまでも子どもじゃないんだし、自由に恋愛くらいしたい。だけど、父のせいで相手を傷つけたり嫌な思いをさせてしまったという過去の後ろめたさから、どうしても黒川さんには父のことは話せなかった。
「とにかくさ、せっかく告白してくれたんだから、返事くらいはしてあげなきゃ」
「うん、そうだね。でも、あの日はお酒も入ってたって言うのもあって、本心かどうかわからない。告白したこと後悔してるかもしれないし……」
なに弱気になってるんだろ、こんなの私らしくない。
告白された翌日も、その翌々日も黒川さんはいつもと変わらない笑顔で店に来てくれたというのに、むしろ意識してしまってぎこちないのは私のほうだ。
「菜穂ったら、黒川先生がお酒の勢いだけで女性を口説く人だと思う? うちのお父さんなんかいつもは無口だけどお酒が入ると人が変わったようにべろんべろんになって、普段言わないような馬鹿なこと言ったりするけど、黒川先生は絶対そんな人じゃないと思う」
黒川さんに疑念を抱いているわけではないけれど、父のことはさておきもう一度会って気持ちを確かめたかった。会いたいと思うのは、やっぱり彼のことが気になっている証拠だ。それは否定できない。
「そんな人じゃない」と聖子から背中を押されると、今まで萎れていたものが急にシャキッとする。私がコクンと頷くと、聖子もやんわりと微笑んだ。