授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
帰りに買ったコンビニ弁当を食べ終え、特に面白い番組もなくテレビを消すとしんと部屋が静まり返る。

時刻は二十一時。

そうだ。洗濯物が溜まってるんだった。今からやっちゃおうかな。

昨日、仕事の前に洗濯をする予定だったけれど少し寝坊したおかげでできなかった。ここはマンションとは違うし、夜に洗濯機を回しても迷惑にはならない。マンションに住んでいたときはコインランドリーを使っていたけれど、幸い聖子夫婦が『新しいのを買うから自由に使って』と言ってこの部屋にドラム式洗濯機を置いていってくれた。

あれ? おかしいな。

カゴの中身を全部洗濯機に入れ終わって、聖子からもらったお気に入りのハンドタオルが見あたらないことに気づく。

もしかして店に置いて来ちゃった? だとすればきっと休憩室かも。

そういえば今日のお昼にハンドタオルを使った気がする。黒川さんの話題で動揺していたせいか、バッグにしまい忘れたみたいだ。明日取りに行けばいいかな、とも思ったけれどせっかく聖子からもらった物をぞんざいに扱いたくなくて、弥生さんから信用されて預かった店の勝手口の鍵を手に取った。

う~寒い。今夜は少し冷えるね。

腕を組んで身を縮こませながら外階段を下りる。

店の勝手口は外階段を下りてお隣さんとの間の細い路地の隅にある。ポケットから鍵を出してドアノブを見たとき、私は異変に気づいた。

鍵が開いてる……。
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