授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
第五章 父の過去
――俺の家の冷蔵庫、ミネラルウォーターと缶ビールしか入ってないんだ。
――家事が苦手で、自炊もしないから……。
明るく苦笑いされて、マンションへ行く前にまずは買い出しをしようということになった。
ミネラルウォーターと缶ビールしか入っていないということは普段、家で食事をとらないのか、食生活はどうしているのか……と、あれこれ心配になってしまう。
「あ! ダメですよ。このレタス、葉が傷んでます」
「え? そう?」
「黒川さん、これも賞味期限近いです」
「うーん、別に腐ってるわけじゃないんだからいいんじゃないか?」
はぁぁ、黒川さんの自称家事が苦手というのはまんざら嘘でもなさそうね、おまけに衝動買いのクセもありそうだし……。
『後で必要になるかも』『買っておいても無駄にはならない』といって、目に付いたものを次から次へとポンポンとカートに入れてしまう彼を見て、乾いた笑みを浮かべるしかなかった。けれど、なにもかもが完全無欠より、ひとつやふたつ不得意なことがあったほうがよっぽど面白いし、人間味がある。と、都合のいいように考えて会計を終えるとスーパーを後にする。
――家事が苦手で、自炊もしないから……。
明るく苦笑いされて、マンションへ行く前にまずは買い出しをしようということになった。
ミネラルウォーターと缶ビールしか入っていないということは普段、家で食事をとらないのか、食生活はどうしているのか……と、あれこれ心配になってしまう。
「あ! ダメですよ。このレタス、葉が傷んでます」
「え? そう?」
「黒川さん、これも賞味期限近いです」
「うーん、別に腐ってるわけじゃないんだからいいんじゃないか?」
はぁぁ、黒川さんの自称家事が苦手というのはまんざら嘘でもなさそうね、おまけに衝動買いのクセもありそうだし……。
『後で必要になるかも』『買っておいても無駄にはならない』といって、目に付いたものを次から次へとポンポンとカートに入れてしまう彼を見て、乾いた笑みを浮かべるしかなかった。けれど、なにもかもが完全無欠より、ひとつやふたつ不得意なことがあったほうがよっぽど面白いし、人間味がある。と、都合のいいように考えて会計を終えるとスーパーを後にする。