授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
黒川さんからのリクエストであるカレーを作るのは久しぶりだった。ひとり暮らしだとどうしても作りすぎてしまって、明日も明後日もその次の日もカレーなんてしょっちゅうだった。だから自然と作るのを避けるようになっていた。

またこうしてカレーを作る日が来るなんて、しかも黒川さんに……美味しいって言ってもらえるかな。

あれこれ妄想が頭の中を飛び交い、自然と緩む口元を抑えることができないでいると、黒川さんがひょいっと手元を覗き込んできた。

「へぇ、星形か。君は本当に器用だな」

「えっ! あっ」

いけない……つい浮かれていつものクセが出ちゃった!

カレーを作るとき、人参はいつも星形と自分の中で決まっていて、黒川さんみたいな大人の男性に食べてもらうカレーだというのに何の迷いもなく指が勝手に動いていた。

「す、すみません……子ども、みたいですよね」

横でサラダを準備している黒川さんにもじもじしていると、彼はクスッと柔らかく笑って私の身体を引き寄せた。

「そういう君の可愛いところを独り占めしてるって思うと、最高に気分がいい」

ぎゅっと抱き込まれ、こめかみ、頬、それから首筋へとあてがう唇が最終的に私の唇を奪う。

「ん……」
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