授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
力が抜けて腰回りからじんと甘い痺れを感じる。目がとろんとしかかったところで、グツグツとスープが煮立っている音に気づいてハッとなった。

「この続きはまた後で、な?」

「……は、はい」

今のキスで湿った唇が薄く笑みをのせると、その壮絶な色気に意識が持っていかれそうになる。黒川さんの誘惑に肯定的な返事をすると、自分も彼を求めていたと思わされて恥ずかしくなった。

この続きって……キスの続きってことだよね?

すると、途端に淫らな光景が取り留めもなく広がって、慌ててそれを掻き消す。想像力豊かというのもときに困りものだ。

「これはコンソメスープか?」

「はい。カレーは汁物なのでそれにスープって合わないっていう人もいますけど、余ったスープは具材を入れ足して明日の朝ごはんにと思って、あ、ちょっと味見してみます?」

まだ熱いかな? あぁ、いい匂い! 美味しそう!

出来栄えに満足し、美味しそうに食べてくれる彼を想像すると胸が躍る。

「コンソメスープ、私が小学生のときに初めて覚えたスープなんですよ。自信作です」

味見してみようとお玉で掬って小皿に移し、ゆっくり口をつける。

「うん! 美味しい! あ、よかったら黒川さんも少し味見してみますか? お口に合うといいんですけど……」

「マ……ユ……」
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