虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
小説では国王が亡くなった直後、ランセルの手によって軟禁されるのだから。

時期も状況もまるで違うけれど、今私の身に起きていることはアリーセの最期と重なっている。

まさか……私はこのまま断罪されるの?

思わずソファーから立ち上がり、扉に駆け寄った。

扉を開くと、その先には数名の騎士がおり、私の行く手を遮った。

「王妃様、部屋にお戻りください」

剣をつきつけられることはないものの、彼らの敵意のようなものを感じて血の気が下がった。

この場面を読んだ。剣をつきつけられたアリーセはショックで倒れてしまうんだよね。

扉を閉じ、フラフラと歩きソファーに向かう。

どうしよう。もし本当にこれが断罪の前触れなら、この部屋を出られるのは裁きの日になる。

そして、問答無用に王宮から追放されてどこか遠くで殺されてしまう。

最悪の事態を回避する為に行動してきたのに。回避どころか最短距離で進んでしまったようなこの状況はなに?



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