虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
「ランセル王太子と随分親しくなったんだな?」
「親しい? どこが? 犬猿の仲だけど」
ロウの目ってどうなってるの?
有能のはずなのに、どうしてしまったの?
それになんだかやけに不機嫌なような……。
「なんか、怒ってる?」
「別に」
「え? 不機嫌じゃない」
じっと見つめるとロウはふいっと目を逸らしてしまった。
絶対変だよね。
追及しようとするより前にロウが大きな息を吐いてから言った。
「貴族夫人達を呼ぶ日程が決まったらすぐに知らせてくれ。それから油断はするなよ。リセは危なっかしいからな」
「失礼な。私は無茶はしない方だからね」
「まあ、いい。フランツ夫人に頼んでおく」
「何、それ。大丈夫だって言ってるでしょ」
それからフランツ夫人が戻るまで、他愛ない話をした。
こんな時に緊張感がないかもしれないけど、ロウとの会話は、やっぱり楽しい。
直ぐにお茶会の段取りをする約束をして、ロウと別れた。