虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
直ぐにいつものメンバーを招待した。
三日後に薔薇の庭園に集まる予定だ。
急だから用意は大変だけど、頼りになるフランツ夫人とレオナ、それからメラニーがてきぱき動いてくれたので何とかなりそう。
私はそれ程蟠りを持っていないけどメラニーの方はまだ気まずいようで、どこかぎこちない。
その内自然に話せるようになるといいなと思う。
当日。早めに支度を整え約束の時間までの時間を潰していると、思がいけなくマリアさんが訪ねて来た。
本来私への来客は宰相が間に入る決まりだけれど、マリアさんに限ってはランセルが許可を出しているそうだ。
「王妃様、突然の訪問申し訳ありません」
今日のマリアさんは、淡い黄色のドレス姿。
前回会ったときと同じように、まずは頭を下げて謝罪をして来た。
ただ緊張感は和らいでいるようで、目が合うと控え目な笑顔を浮かべた。
「大丈夫、座って」
「はい。あの、もしかしてお約束がありましたか?」
私の華やかなドレスを見たマリアさんが、慌てたように言う。
「この後に、庭でお茶会があるの。ランセル殿下に聞いていない?」
恐らくマリアさんはランセル殿下を訪れたついでに、私のところに寄ってくれたんだと思う。
「いえ、王妃様にご挨拶をしてから帰ると言ったのですが、ランセル様は何もおっしゃっていませんでした。」
「そうなのね。私はマリアさんと会いたかったから訪ねてくれて嬉しい」
「え、そんな……」
マリアさんは頬をそめて俯く。本当に可愛い。
ランセルの話では他の貴族の女性から冷たくされているようだけど、彼女の奥ゆかしい人柄を知れば、態度も変わって来るんじゃないかな。
皆が皆、ランセルの恋人に嫉妬する訳じゃないだろうし……。