虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
エピローグ
ランセルの戴冠式から二日後。
私は彼によって断罪された。
宰相の横領に加担したのが発覚したとされ、王宮を追放され粗末な馬車で北の修道院へ送られた。
しかし馬車は途中盗賊に襲われ、修道院に到着することは出来なかった――――。
バルテル城近くの重臣の屋敷の厨房で、私は白米を炊き、お味噌汁を作っていた。
バルテルには和食の材料が揃っているから嬉しい。
ここでは料理をしても何も言われない。好きにさせて貰える。
やっと手にいれた自由は何よりも代えがたく素晴らしい。
しみじみと幸せに浸っていると、どこか呆れたような声が聞こえて来た。
「またここに居たのか。しかも馴染み過ぎてるぞ」
振り返ると厨房の出入り口のところに、腕を組んだロウがいた。
「あ、ロウ。今日は仕事ないの?」
「あるに決まってるだろ? けど伯父上にリセの様子を毎日見に行くようにって命令されているからな」
「そっか。伯父様には本当に気にかけて貰って、感謝しかないわ」