虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない


◇◇◇

なんて可哀そうな女性だろう……私は同情の気持ちでいっぱいになりながら本を閉じた。

だって、アリーセは冤罪だったのだ。

希代の悪女なんて呼ばれてみんなに恐れられていたけど、本当の彼女は不幸な生い立ちの気が小さな弱い女性で、王妃には父親の命令で嫌々なっただけ。

本人は権力欲も物欲もない平凡な女性。王宮でひっそりと暮らしていたところ、罪を被せるのに都合のよい存在だったから陥れられたのだ。

アリーセに問題があったとすれば、悪意に立ち向かう気概がなかったところだけ。

大きな流れに逆らえずに不幸な結末を迎えてしまった。

もし私がアリーセの立場だったら、もっと抵抗したのに。罰は本当の悪人に下るべきだもの。


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