虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
嬉しい再会
久々に彼に会えるのはとても嬉しい。

素早く身支度をして、応接間へ向かう。

応接間には、町で見かける時とは違い、バルテル辺境伯の後継者に相応しい装いのロウが待っていた。

私の入室に気付くと静かに頭を下げる。

彼の後ろには私の知らない女性と、なぜかガーランドさんがいる。なんで食堂で働く彼を連れて来ているのだろう。

内心首を傾げながら、私の後ろをついて来ていたレオナに隣室で待つように伝える。

彼女が退室して直ぐに声をかけた。

「ロウ、来てくれたのね」

彼は笑顔で頷く。

「久しぶり。元気そうだな」

レオナが退室したからか、町でのロウの態度に戻っていた。肩の力が抜けてほっとする。

「ロウも変わらないね。ところでどうしてガーランドさんが?」

「驚いただろ? 実はガーランドはバルテル家の家臣なんだ」

「うそ?」

「本当だって。食堂の店主は仮の姿だ」

仮の姿って……バルテルの人たちって何しているの?

私と目があったガーランドさんは気まずそうな顔をしながら、目礼をする。

「でも、どうして辺境伯家の家臣が食堂を?」

「それはおいおい説明する。それより驚いた、町に来なくなったと思ったら王妃になってるんだもんな」

「話してなくてごめんね、決まった途端に忙しくなって、屋敷から出られなかったの」

「急なのは確かみたいだな。民への告知も無かったし」

普通はそういのがあるんだ。アリーセの結婚は本当に適当に扱われているんだな。
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