続・隣人はクールな同期でした。
1章:同棲は優しい彼氏でした。
手術を終え退院したアタシは
ジンと一緒に暮らす事になり
“隣人”ではなく“同棲”へと新たな生活が始まって
2カ月が経とうとしていた―――
「はぁ!?
もう仕事復帰するつもりか!?」
同棲を始めてから
もう何度目かの夕飯の最中
正面に座るジンに仕事の話をしたら
箸を止め怪訝な表情を浮かべた。
「もちろん無理はしないよ。
体の調子もいいし
(病院の)先生からの許可だって出てるし…」
「あのなぁ。
そうだとしてもまだ早いだろ。
退院したばっかなんだぞ?
そんなに急ぐ必要あるのか?」
「まぁそうだけど…」
入院してから仕事してないし
そんな長期休暇だと
アタシの席が危うそうなんだけどなと
モゴモゴ言いながらご飯を一口。
「あのなぁ。
何を心配してんのか知らねぇけど
広報の課長はお前をクビにしたりしない。
実績もあるし必要としているんだ。
だから今は無理せずゆっくり休め」
心配性な彼氏からそんな命令をされたら
さすがに『はい』としか言えない…。
「片付けてくるね」
完食し空になった食器をまとめ
何気に椅子から立ち上がろうとした、が。
「…ッ」
グラっと血の気が引くのを感じ
倒れないように体制を保っていたけれど
そっちに意識が集中してしまったせいか
持っていたお皿を床に落としてしまった。
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