続・隣人はクールな同期でした。

だけど結局
ジンの強い意志に負けて
『わかった…』と承諾。

電話を切る前に
1つだけちゃんと伝えないと。


「この電話なんだけど…
 実は、泉海さんの携帯を貸してもらっていて…」


言いながらチラッと彼女の方を見ると
電話の相手がジンだという事に複雑らしく
戸惑った表情を浮かべている。


『どうしてマリカさんが…?』


戸惑っているのは
たぶんジンも同じだ。

声のトーンが
変わったから…。


「盗まれたあと
 困っていたアタシを見つけてくれて
 それで交番まで付き添ってくれたり
 スマホも貸してもらったりしたんだよ…」


正直ココまで話すのはイヤだった。

だって
誰が聞いたって明らかにいい人じゃん、彼女。

そんなの
好きだった人が聞いたら
尚更もっと“いい女”に映るだけ。

って…
アタシがこんなに嫉妬深い女だったとは。


『俺からもあとで礼を言っておく』

「…ありがとう」


社会人なんだから
助けてもらってお礼を言うのは当たり前。

そんな些細な会話ですら
「しないでほしい」なんて言ったら
罰当たりになるかな。

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