続・隣人はクールな同期でした。

―――数時間前。


「あのー…副編集長…
 ちょっとミスしちゃいましてぇ…」

「あ?」

「ひぃッ!
 すみませんでしたぁぁッ」


仕事のミスを報告する編集部部下に
俺は物凄い睨みを利かせていたと思う。

部下が悪いワケじゃない。
パワハラでもない。
完全に私情を挟んだ個人的理由を持ち込んだ俺が悪い。

セツナと風見の間であった事が
頭から離れなくてイライラしていた。

何度も思い出すのは…
あの現場だ。

何がどうしてそうなったのか
感情が先立ってしまい
セツナの謝罪すら受け入れなかった。


頭を冷やすために先に出社したのに
まったく冷えず。

そんなイライラMAXなときに現れるのが…


「まさか副編集長に見られるとは
 思いませんでしたよ」


元凶:風見ハル
今1番会いたくないヤツが俺の目の前に。


「なんの話だ。
 仕事中だろ、働け」


激高している感情なんて
ほぼ全開にして答えてしまうくらい
この男の顔を見たくない。
それなのに。


「もちろん仕事の話ですよ?
 出来上がった資料の報告です」


そう言って書類の束を
しれっと提出してきた。
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