続・隣人はクールな同期でした。
ジンは兎も角としても。
やっぱりアタシは気になる。
ひったくりの事件のあと
すぐに犯人が見つかって
鞄の中身も全部、無事に戻ってきた。
途方に暮れていたあの時
もし独りのままだったら
発作を起こして倒れていたかもしれない。
泉海さんがいてくれて
アタシに付き添って警察や病院に行ってくれた事には
本当に感謝している。
携帯まで貸してもらったしさ。
それなのに
まだちゃんとお礼も言ってない。
直接伝えたい気持ちがある一方で
ジンとの事もあって
部屋を訪ねる勇気もなくて…。
「『アンタの顔なんて見たくないわよ』
なんて言われるのは確実だろうしな…」
”偽善者”
アタシが逆の立場なら
そんな風に思ってしまうかもしれない…
そう考えると
玄関のインターホンを鳴らせなかった。
そんな迷いの真っ只中
ある日曜の昼過ぎ――――
ベランダでいつものように洗濯物を干していると
ガタガタ…と
泉海さんの部屋のベランダから
物音が聞こえてきた。
本人の姿までは見えなかったけど
無事だという事がわかり
少し安堵。