続・隣人はクールな同期でした。
早乙女さんの同意を得られないまま
エレベーターは目的の階に到着。
自動で開いた扉の先にいた人物を見て
アタシはその場で固まってしまった。


「ジン…」


こんな時に
当の本人に鉢合わせるなんて
なんて最低なタイミング。


ココで早乙女さんがさっきの事を話したら…終わりだ。

息を飲み
瞬きもせずに彼女の動向を注視していたが――


「ジンくん、お疲れ様ぁ」


ニコッと笑顔を向けながら
何事もなかったかのようにエレベーターから降りたから
アタシも無言であとを追って一緒について行ってしまった。

『なんだ?』と不思議そうに首を傾げるジンは
入れ替わりに乗り込んでいく。

あからさまに無視しちゃったな…

でも今はそれどころじゃない。


「早乙女さん…
 ありがとう、言わないでくれて」

「言わないわよ。
 ジンくんがイヤな思いするのを見たくないもん」


あ、そっちか。

まぁでも
とりあえず助かった…


だけどこのままってワケにはいかないな。
風見くんが何を企んでいるか知らないけど
今後は更に警戒していかないと。


< 28 / 151 >

この作品をシェア

pagetop