続・隣人はクールな同期でした。
…なんて張り切ってみたけれど。


「はぁ…。
 何やってんだろ…」


グツグツ煮込む鍋をかき混ぜながら
思わず溜息。


たかが年下の男のコに略奪宣言されただけなのに
どうしてこうも振り回されているのかって考えたら
アホらしくなってきた。


「そもそも何を悩んでんの?アタシは。
 それすらわからなくなってきた」


いろんな事があったけれど
アタシもジンも“好き”って気持ちはお互い同じ。
付き合う事になって一緒に暮らして
アイツはいつも傍にいてくれる。

だから誰よりも信じないとな。


「セツナ?」


スーツのネクタイを緩めながら
台所に顔を出した当の本人。


あれ?いつの間に帰ってきたんだろうか。


「あ、おかえり」

「どうした?
 返事がないから心配した」


どおりで不思議そうな表情をしているのか。

時計を見れば夜の7時半をまわっている。


「もうこんな時間!?
 ごめん!すぐ作るからッ」


思った以上に時間が過ぎていた事に驚き
慌てて鍋の火を止め食器棚から皿を数枚取り出したが…


「セツナ…」


おもむろに近づくジンに
そっと
囁くように名前を呼ばれーーー











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