続・隣人はクールな同期でした。
そう言われてても
恋人の立場としては素直な意見。
他に言い様がない。
それに自分だって。
「そっちこそ。
数年ぶりに“彼女”と再会出来て
本当はかなり嬉しいんじゃないの?」
“売り言葉に買い言葉”
思わず勢いに任せてしまった。
「どういう意味だ」
そのせいで気分を害したのか
彼は食べる箸を止め
みるみるうちに
しかめっ面で不機嫌MAXに険悪なムード。
「ご、ごめん…
サークル仲間だって自分で言ってたから…
そんな人と数年ぶりに会ったら
嬉しいのかなって…」
咄嗟に誤魔化し謝ってしまった。
ハッキリ聞けばいいのに
わざと知らないフリをしてまで意気地がなさすぎるけど
かと言って
真相を聞くワケにはいかないし…。
「…別に普通だろ。
いくら久しぶりに会ったとは言え
いちいちそんな事で喜ぶ年齢じゃねぇよ」
不審そうに疑いの眼差しを向けていたジンだったけど
意外にもすぐに誤解が解けたようで
それ以上は勘ぐる事もなく
表情はいつもの“無”に戻り、止めた箸が動く。
どうやら“言い争い”の惨状は免れたみたい…。