続・隣人はクールな同期でした。
煙草の吸殻を入れた灰皿を持ちながら
ベランダから室内へと戻り
リビングでコーヒーを淹れていると…
―――ピンポーン・・・
ドアフォンから鳴ったチャイムの音と共に
画面に映っていたのは
さっきまで思い出し考えていた、マリカさんだった。
モニター越しの彼女は
少々困った表情でソワソワしている。
まさか何かあった?
イヤな胸騒ぎを覚え
逸る気持ちでドアを開けると
今にも泣きだしそうな彼女は
カタカタと体をを震わせている。
「マリカさん、どうしたんですか?
大丈夫ですか?」
肩や背中に触れるワケにもいかず
どうしていいものかわからないまま戸惑っていた俺に
彼女は涙で小さく呟く。
「…む、、、虫…」
「…え?」
虫…?
「キッチンに虫がいるのッ
ジンくん取ってッ」
半泣き状態で突然の虫退治の依頼に
呆気に取られてしまったが
ひとまず様子を見に部屋に邪魔する事に―――
玄関に入ると
鼻を掠めたのは爽やかな芳香剤の香りに
足元は薄緑の玄関マット。
ココはつい最近までセツナが生活していた部屋だが
今は違う。