続・隣人はクールな同期でした。

偽って誤魔化してない
いつものマリカさんの笑顔。

だけど俺と再会したからって…
そんな簡単は話じゃねぇはず。


「苦しい思いをしてきたんですね…。
 今はゆっくり休んだ方がいい。
 自分の時間を大切に
 少し息抜きをしたらどうでしょうか」


軽率な事は言えないけれど
思っているのは本音だ。


「そうだね…
 本当、その通りだね…
 ありがとう」


心憂わしげな表情で返ってくる彼女の言葉。

俺に言える事は
それくらいしかねぇ…


「ジンくん…」

「…はい」


改めて名前を呼ばれ
畏まってしまう。


「“あの時”
 ジンくんを好きなままでいたら…
 今も付き合っていたのかな…」

「…それは…」


言葉が…出てこなかった。
過去を振り返るつもりはない。
けれど、“その時”の記憶は
俺にとっても忘れられなかったから…。


「離婚して弱くなっちゃったのかな…私。
 独りでいるのがとても寂しくて仕方ないのッ」


両手で顔を覆い
また突然泣き出してしまった。


「マリカさん…」


俺はまた
ただ立ちすくむしか出来ずにいる。

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