続・隣人はクールな同期でした。
3章:事件ですか。事故ですか。
―――翌日。
「七星さん。
またお薬出しておきますね」
「はい、ありがとうございます」
『お大事に』と挨拶され
今日の診察は終わり。
月1回ペースで平日の午前中に受診し
定期的に術後の経過を診てもらい
終わって仕事に行くような生活をしている。
今日もこのまま会社に向かうため
肩に掛けてるトートバックから
スケジュール帳を取り出し
腕時計を見つつ駅に向かった。
平日の日中のためか
街中は人も車も疎ら(まばら)。
行き交う人もほぼいない静かな歩道を
手帳片手にボーっと歩いていく。
仕事の事を考えないとなのに
頭から離れないジンとの事。
こんな事で仕事が疎かになっちゃいけないけど
“恋は盲目”の意味が納得。
だからって
そんな事ばかり考えているせいで
まわりの音が耳に入らないワケはなく
もちろん背後から近付いてくる自転車の気配に
気付かないなんてはずがなかった。
通る邪魔をしないようにと思い
道をあけようと端に寄ったのに。
それなのに…
“それ”はあまりに突然に
アタシの想像を遥かに超えて起きた―――