続・隣人はクールな同期でした。

唯一盗まれなかったのは
偶然、手で持っていたスケジュール帳のみ。
幸いにも仕事関係のモノは入っていなかったけど
アタシ個人の情報全部を
まったく知らない他人の手に渡ってしまった。

それがどれほど恐ろしい事なのか
今まで経験していなくても想像は出来る。


成りすましなどの詐欺で
スマホやクレジットカードの悪用。
家の鍵も入っていたんだから
泥棒にだって入られかねない。
考えるほどキリがない心配事に加えて
会社にもジンにも連絡が取れない。


「考えなきゃ…」


焦っているのと
次から次へと恐怖は押し寄せ
体は震え不安から心拍数はあっという間に上がっていく。

薬までもを失った事が
精神的に不安を煽っていた。


「落ち着けアタシ。
 深呼吸…ふぅー…」


パニックになってココで苦しんでいても
閑散とした歩道で
誰かが気付いてくれる保障もない。


体中の痛みが強い中
地面に座ったまま大きく深呼吸をし
なんとか、なんとかせめて
脈を正常に戻したかった。



とりあえず…警察…


ケガは後回しにして
まず先に向かったのは交番。

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