【短】俺でいっぱいになればいいのに
きっと、君はこのまま、この感情が幼馴染以上であると、気がつく日は来ないと思う。

けれど、いつ気がつくかも分からないのも事実で油断なんてできない。

やっぱり、恋仲に発展しにくいなんて思ったのも、俺の気休めでしかなかったことに気づく。

ほんとは、君と大和を見かけるたびに、どうしようも無い焦燥感に駆られていた。

いつも、いつも。

鈍感なようで、鈍感ではない君が、わかりやすく頬を赤らめる。

アイツのいない、今じゃなきゃ、ダメだと思った。

というより、ずっと、こういう時を狙っていた。

大和になんか、渡したくないと思った。

大和が、現を抜かしているうちに、取ってしまおうと思った。

言葉を噛みしめるように開く俺の唇を、君の視線がなぞる。




「俺さ、好きだよ。君のこと」




お願い、早く、早く、俺でいっぱいになって。
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