男女7人!?夏物語~アイドルHinataの恋愛事情【3】~
Epilogue
「……もう、そのくらいでイイんじゃナイ? 高橋がさ、『仕事に悪影響を与えない』って言い切ってるんだ。結婚ぐらい、させてやったら?」
高橋がクリスマスイブの生放送でぶちかました『プロポーズ大作戦』の後。
道坂さんの手を握ったまま珍しく人に頭を下げている高橋に向かって罵声を浴びせるハギーズ事務所のお偉いサンの前に立ちはだかった一人の青年。
少しオレンジがかった茶髪。
白く透き通るような肌の色の、細い手足。
吸い込まれそうになるくらい、澄んだ瞳。
――――希!?
お偉いサンは、希の姿を見てたじろいだ。
希は、お偉いサンの目を見ながら、じわりじわりと近づいていく。
初めて会った時より、いくらか背は伸びたようだが……他は何も変わっていない。
「さぁ、どうする? 結婚を認めてやんないって言うなら、いまここでボクが『Hinata』をまるごと買い取って独立してやってもいいケド?」
希が挑発したように言うと、お偉いサンは逆らえず、高橋の結婚を認めるとだけ告げて去っていった。
「――希!」
俺が近付いて声をかけると、希は昔と変わらず、ニッと笑った。
「久し振りだな。おまえ、いままでどこで何やってたんだよ?」
「うん? まぁ、イイじゃん、どーだって」
……何も変わってねーな?
「希さん……ありがとうございますっ」
高橋が、希に頭を下げた。
「ホント、高橋も面白いことやらかしてくれたね。ウチでテレビ見ててさ、驚いてお茶噴き出して……、ウチの子猫に怒られたよ」
「……子猫ぉ?」
まさか、『オンナ』って意味じゃねーだろうな?
あ、別にそれでもおかしくはねーか。
確か、高橋よりも二つ年下だったはずだから……25か、6くらいか。
とても、そんな歳には見えねーけどな。
せいぜい……ハタチそこそこって感じがする。
「ちょっと面白そーだったから来てみたんだケド、来て正解だったみたいだね。あのオジサン、昔から頭カタイから」
『あのオジサン』というのは、さっきの事務所のお偉いサンのことだ。
「あの人たちにはHinataを任せておけナイね。ホントに、Hinataを買い取りたいくらいだよ。……そーだ、この際だからボク、現場に戻ろーか?」
「あぁ、その方がいいね。希さんなら、高橋の今後だってうまくやってくれるんじゃない? ボクと違って希さんにはそれだけの力があるし?」
中川がおどけて言うと、希は笑った。
「なんだったら、そっちもボクがなんとかしよーか?」
「……いや、それは遠慮しとくよ」
希の提案に、中川は苦笑いをした。
……『そっち』とか、『なんとかする』って、どーいう意味だ?
っつーか、なんだか、俺だけおいてけぼり食らってるような気がするのは気のせいか?
俺の少々不満げな表情を読んでか、希が俺に声をかけた。
「樋口、ここ数年でまた成長したね。いつも見てるよ。もう、ちゃんと立派にHinataのリーダーだね」
「……あったりめーだろ?」
俺はいつだったかと同じように、目の前にいる茶髪の青年の頭をぐりぐりとなでながら言った。
「おまえが選んだんだからよ、当然だろ」
高橋がクリスマスイブの生放送でぶちかました『プロポーズ大作戦』の後。
道坂さんの手を握ったまま珍しく人に頭を下げている高橋に向かって罵声を浴びせるハギーズ事務所のお偉いサンの前に立ちはだかった一人の青年。
少しオレンジがかった茶髪。
白く透き通るような肌の色の、細い手足。
吸い込まれそうになるくらい、澄んだ瞳。
――――希!?
お偉いサンは、希の姿を見てたじろいだ。
希は、お偉いサンの目を見ながら、じわりじわりと近づいていく。
初めて会った時より、いくらか背は伸びたようだが……他は何も変わっていない。
「さぁ、どうする? 結婚を認めてやんないって言うなら、いまここでボクが『Hinata』をまるごと買い取って独立してやってもいいケド?」
希が挑発したように言うと、お偉いサンは逆らえず、高橋の結婚を認めるとだけ告げて去っていった。
「――希!」
俺が近付いて声をかけると、希は昔と変わらず、ニッと笑った。
「久し振りだな。おまえ、いままでどこで何やってたんだよ?」
「うん? まぁ、イイじゃん、どーだって」
……何も変わってねーな?
「希さん……ありがとうございますっ」
高橋が、希に頭を下げた。
「ホント、高橋も面白いことやらかしてくれたね。ウチでテレビ見ててさ、驚いてお茶噴き出して……、ウチの子猫に怒られたよ」
「……子猫ぉ?」
まさか、『オンナ』って意味じゃねーだろうな?
あ、別にそれでもおかしくはねーか。
確か、高橋よりも二つ年下だったはずだから……25か、6くらいか。
とても、そんな歳には見えねーけどな。
せいぜい……ハタチそこそこって感じがする。
「ちょっと面白そーだったから来てみたんだケド、来て正解だったみたいだね。あのオジサン、昔から頭カタイから」
『あのオジサン』というのは、さっきの事務所のお偉いサンのことだ。
「あの人たちにはHinataを任せておけナイね。ホントに、Hinataを買い取りたいくらいだよ。……そーだ、この際だからボク、現場に戻ろーか?」
「あぁ、その方がいいね。希さんなら、高橋の今後だってうまくやってくれるんじゃない? ボクと違って希さんにはそれだけの力があるし?」
中川がおどけて言うと、希は笑った。
「なんだったら、そっちもボクがなんとかしよーか?」
「……いや、それは遠慮しとくよ」
希の提案に、中川は苦笑いをした。
……『そっち』とか、『なんとかする』って、どーいう意味だ?
っつーか、なんだか、俺だけおいてけぼり食らってるような気がするのは気のせいか?
俺の少々不満げな表情を読んでか、希が俺に声をかけた。
「樋口、ここ数年でまた成長したね。いつも見てるよ。もう、ちゃんと立派にHinataのリーダーだね」
「……あったりめーだろ?」
俺はいつだったかと同じように、目の前にいる茶髪の青年の頭をぐりぐりとなでながら言った。
「おまえが選んだんだからよ、当然だろ」