最初で最後だから。
夏美は私の全てを知っている。

性格もよく分かっている。

だから私の中に無理に入ってこようともしない。

それが一緒にいてとても楽だった。

でもひとつだけ知らないことがある。

私が歌わなくなった理由だ。

小さい時私はよく歌ってよく笑う子だった。

でもある日突然そんな私が消えた。

何も知らない夏美は私に

『琴羽〜この前歌ってたあの曲聞きたい!』

そう言った。

(やめてくれ。)心の中で叫んだ。

この子は何も悪くない。

そんなことは分かっていた。

しかし

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