【女の事件】白紙委任
第2話
まさゆきの家は、仙台市青葉区の山の手にある開業医である。
まさゆきの家族は、開業医の父(70歳)と病院の調理場のパートの母(61歳)と兄・まさよし(41歳・会社経営者)と弟・まさはる(30歳・総合商社勤務)の5人家族であった。
まさはるは、結婚後は青葉区内の別の場所で暮らしているので、実家と離れて暮らしている。
兄は家出をして行方をくらませたので、家族と疎遠になっている。
現在、実家で両親と暮らしているのはまさゆきだけである。
まさゆきは、泉区内にある第2地銀の出張所で契約社員として働いている。
彼が10代の頃に両親から『お前は医者になれ!!』と要求された。
両親の要求に応じて、東京の医大を受験したが、大失敗に終わった。
5~6年浪人して医大を受験したが不合格の山ばかりで、ノイローゼになったので医者になることをやめて、フツーのサラリーマンに転向した。
高校の時に取得した簿記の資格があったので、まさゆきは母親の知人のコネで第2地銀の契約社員になった。
契約書を更新しながら青葉区と泉区の支店をつないで働いて来た。
契約社員の身分なので、ボーナスも手当てもない超安月給であった。
だから結婚なんてどだい無理だ…
まさゆきは、契約社員であること自体に不満を抱いていた。
2009年に、弟・まさはるが中学の時から付き合っていたカノジョと恋愛結婚をした話があった時から、まさゆきは結婚したいと思うようになった。
けれど、両親は弟の恋愛結婚の方がうれしいので、自分の結婚はうれしくないと思って怒っていた。
周囲の人たちもアテにならないので、自分の力だけで結婚相手を探すしかない…
そう思って、仙台市内の結婚相談の店を探しまわっていた。
どう言った相手を希望しているのか…
どう言った結婚生活を希望しているのか…
まさゆき自身は、そう言った理想を持たずにただやみくもに動いていた。
だから、9月19日にN店に行った時にもめ事を起こした。
事の次第を聞いた両親は、オタオタオタオタおたついていた。
両親は、父親がかつて在籍していた総合病院で勤務をしている知人に大至急お見合いのお世話をしてほしいとお願いした。
キンリンに年ごろの女性がまったくいないので、病院に在籍している女医さん(まさゆきよりも7つ上)と結婚をさせたいのでお願いをしますと頼んだ。
しかし、女医さんのスケジュールが合わないので、お見合いができない…
2011年2月10日頃に、女医さんが過労でダウンした上に乳ガンをわずらっていたことが分かったので、お見合いを見合わせてくれと言う知らせが来た。
知らせを聞いた両親は、病院の人に『あんたに頼んだのが間違いだった…信用できない…』と言うて、斬り棄てた(きりすてた)。
…ので、まさゆきはお見合いすることができなくなった。
それから一ヶ月後のことであった。
東日本大震災が発生して、自宅が半壊の被害に遭った…
まさゆきの職場も、被災した住民の対応におわれていたので、気持ちのゆとりがなかった。
大震災をきっかけに、再びまさゆきは結婚したいと思っていた。
しかし、少ないお給料が頭の痛い問題になっていたので、ヤーメタで投げすてた。
11万円のお給料で、どうやってお嫁さんを養うのだ…
ボーナスも手当もない…
お弁当代などを差し引いて、10万円以下になる金額で、お嫁さんを養うなんてどだい無理…
先に結婚をした弟・まさはるは正社員でボーナスがついて年収500万以上…
オレは契約社員だから、お嫁さんが来てくれない…
両親は、時期が来れば自然にお嫁さんは来てくれるから待ってと言うけど…
もうしんどい…
もうイヤや…
まさゆきは、両親に対してより強烈な不満を募らせていた。
2015年10月4日頃のことであった。
まさゆきは、塩竈市で暮らしている母親の知人の息子さんの結婚披露宴に両親と一緒に行ったが、そこで大ゲンカを起こした。
結婚式場の入り口でまさゆきが『オレに対しての当て付けか!!』と怒ったあと、式場の中で暴動を起こして、そのまま帰った。
まさゆきが結婚式場で起こした大暴動が原因で、両親は困り果てていた。
結婚披露宴を見せれば、まさゆきが結婚に向いてくれるだろうと思って、式場へ行ったと言うのに…
あの大暴動が原因で、何もかもがダメになった…
この時、まさゆきの両親はまさゆきの結婚をあきらめて、まさはる夫婦に孫が産まれて来る日を待つことにした。
10月6日頃のことであった。
まさゆきの母親・しほは仙台市中心部にある大型病院の調理場でパート勤務をしていた。
まさゆきの父親は、学会で札幌に行ってた。
明日まで札幌に滞在する予定なので、この日は家には帰らない。
ひと仕事を終えたしほは、トイレの洗面所でメイクをしていた。
この時、塩竈市で暮らしているしほの知人の女性のお姉様で、病院のソウジのパート勤務の女性と会った。
ソウジのパート勤務の女性は、心配そうな声でしほに言うた。
「しほさん…」
「あら…(ソウジのパートの女性)さん…」
「しほさん、今仕事が終わったところかな…」
「これから、家に帰るところです…ダンナは札幌へ学会に行っているので…明日までは帰りません…」
「そう…」
ソウジのパートの女性は、心配そうな声でしほにこう言うた。
「しほさん…」
「はい…」
「おととい、塩竃の妹の息子の結婚披露宴に行ったよね…」
「ええ、行きましたけど…」
「しほさん…まさゆきさん…どうして大声を出して大暴動を起こしたのかな…」
「ああ…ごめんなさい…せっかくのお祝いを台無しにしてごめんなさい…」
「それもそうだけど…問題は、まさゆきさんので結婚のことよ。」
「えっ?」
「しほさん…しほさんはまさゆきさんにお嫁さんは必要ないのかな…」
「どういう意味なのかしら!?」
「まさゆきさんはもうすぐ40になるのに、どうしてお嫁さんがいないのかなぁ?」
「どうしてって…今はいないだけで、じっとしていれば、神さまがお嫁さんを選んでくれるわよ…」
「しほさん…あんたはなんでも神頼みにしてほったらかしにしているみたいね。」
「そんな…」
「しほさん…」
しほは、ソウジのパートの女性から言われた言葉にムッと来たので、怒った声でこう言うた。
「ムリ…ムリです…まさゆきは契約社員でお給料が極力少ないから、結婚なんかできません!!」
「それはどうしてなの?」
「できないものはできないのです!!」
「どうしてそうやって決めつけるのよ?」
「決めつけなんかじゃありません!!」
「しほさん…」
「まさはるは正社員だからボーナスと手当がついて安定した収入がある…まさゆきは契約社員でお給料が少ないのよ!!」
「だからまさゆきさんは結婚できないと言いたいわけなのね!!」
ソウジのパートの女性が言うた言葉を聞いたしほは、ますますやっきになっていた。
「まさゆきは正社員じゃないから、収入が不安定で契約書を更新しながらじゃないと会社にいることができないのよの!!お給料は極力少ないのよ!!そんなはした金でどうやってお嫁さんを養って行くのですか!?」
「はした金のお給料の人はお嫁さんが来てくれないと言いたいわけなのね!!」
「ええ、その通りです!!」
「共稼ぎはダメなのかい!?」
「共稼ぎはダメです!!」
「どうしてダメなのよ!?」
「女性の理想は専業主婦志向が多いからよ!!正社員で収入が安定している人じゃないとイヤと言うから話しにならないのよ!!こんなことになるのであれば、大金使って裏口入学で医大へ行かせるべきだった!!ああああああああああ!!サイアクだわ!!」
「しほさん…落ち着いてよ…まさゆきさんが契約社員だから結婚できない…先に結婚した弟さんが正社員だから結婚できるというたわね…つまり、あなたは正社員の人はお嫁さんは来てくれるけど、契約社員の人はお嫁さんが来てくれないからあきらめた方がいいと言うことなのね。」
「ええ、その通りよ!!」
「それじゃあ聞くけど、うちの近所で暮らしているT作くんは製紙工場の契約社員よ…彼は6ヶ月前に好きなカノジョと婚約して、結婚準備をしているのよ…」
「(冷めた声で)ウソよそんなの…」
「ウソじゃないわよ。」
「(ますます冷めた声で)作り話しないで…」
「もう分かったわよ…しほさんがそのように言うのであれば、やめた方がいいみたいねぇ…」
ソウジのパートの女性は、しほにこう言うたあと、大きくため息をついた。
しほの無関心な性格が原因で、このあと恐ろしい悲劇が襲いかかるのであった。
まさゆきの家族は、開業医の父(70歳)と病院の調理場のパートの母(61歳)と兄・まさよし(41歳・会社経営者)と弟・まさはる(30歳・総合商社勤務)の5人家族であった。
まさはるは、結婚後は青葉区内の別の場所で暮らしているので、実家と離れて暮らしている。
兄は家出をして行方をくらませたので、家族と疎遠になっている。
現在、実家で両親と暮らしているのはまさゆきだけである。
まさゆきは、泉区内にある第2地銀の出張所で契約社員として働いている。
彼が10代の頃に両親から『お前は医者になれ!!』と要求された。
両親の要求に応じて、東京の医大を受験したが、大失敗に終わった。
5~6年浪人して医大を受験したが不合格の山ばかりで、ノイローゼになったので医者になることをやめて、フツーのサラリーマンに転向した。
高校の時に取得した簿記の資格があったので、まさゆきは母親の知人のコネで第2地銀の契約社員になった。
契約書を更新しながら青葉区と泉区の支店をつないで働いて来た。
契約社員の身分なので、ボーナスも手当てもない超安月給であった。
だから結婚なんてどだい無理だ…
まさゆきは、契約社員であること自体に不満を抱いていた。
2009年に、弟・まさはるが中学の時から付き合っていたカノジョと恋愛結婚をした話があった時から、まさゆきは結婚したいと思うようになった。
けれど、両親は弟の恋愛結婚の方がうれしいので、自分の結婚はうれしくないと思って怒っていた。
周囲の人たちもアテにならないので、自分の力だけで結婚相手を探すしかない…
そう思って、仙台市内の結婚相談の店を探しまわっていた。
どう言った相手を希望しているのか…
どう言った結婚生活を希望しているのか…
まさゆき自身は、そう言った理想を持たずにただやみくもに動いていた。
だから、9月19日にN店に行った時にもめ事を起こした。
事の次第を聞いた両親は、オタオタオタオタおたついていた。
両親は、父親がかつて在籍していた総合病院で勤務をしている知人に大至急お見合いのお世話をしてほしいとお願いした。
キンリンに年ごろの女性がまったくいないので、病院に在籍している女医さん(まさゆきよりも7つ上)と結婚をさせたいのでお願いをしますと頼んだ。
しかし、女医さんのスケジュールが合わないので、お見合いができない…
2011年2月10日頃に、女医さんが過労でダウンした上に乳ガンをわずらっていたことが分かったので、お見合いを見合わせてくれと言う知らせが来た。
知らせを聞いた両親は、病院の人に『あんたに頼んだのが間違いだった…信用できない…』と言うて、斬り棄てた(きりすてた)。
…ので、まさゆきはお見合いすることができなくなった。
それから一ヶ月後のことであった。
東日本大震災が発生して、自宅が半壊の被害に遭った…
まさゆきの職場も、被災した住民の対応におわれていたので、気持ちのゆとりがなかった。
大震災をきっかけに、再びまさゆきは結婚したいと思っていた。
しかし、少ないお給料が頭の痛い問題になっていたので、ヤーメタで投げすてた。
11万円のお給料で、どうやってお嫁さんを養うのだ…
ボーナスも手当もない…
お弁当代などを差し引いて、10万円以下になる金額で、お嫁さんを養うなんてどだい無理…
先に結婚をした弟・まさはるは正社員でボーナスがついて年収500万以上…
オレは契約社員だから、お嫁さんが来てくれない…
両親は、時期が来れば自然にお嫁さんは来てくれるから待ってと言うけど…
もうしんどい…
もうイヤや…
まさゆきは、両親に対してより強烈な不満を募らせていた。
2015年10月4日頃のことであった。
まさゆきは、塩竈市で暮らしている母親の知人の息子さんの結婚披露宴に両親と一緒に行ったが、そこで大ゲンカを起こした。
結婚式場の入り口でまさゆきが『オレに対しての当て付けか!!』と怒ったあと、式場の中で暴動を起こして、そのまま帰った。
まさゆきが結婚式場で起こした大暴動が原因で、両親は困り果てていた。
結婚披露宴を見せれば、まさゆきが結婚に向いてくれるだろうと思って、式場へ行ったと言うのに…
あの大暴動が原因で、何もかもがダメになった…
この時、まさゆきの両親はまさゆきの結婚をあきらめて、まさはる夫婦に孫が産まれて来る日を待つことにした。
10月6日頃のことであった。
まさゆきの母親・しほは仙台市中心部にある大型病院の調理場でパート勤務をしていた。
まさゆきの父親は、学会で札幌に行ってた。
明日まで札幌に滞在する予定なので、この日は家には帰らない。
ひと仕事を終えたしほは、トイレの洗面所でメイクをしていた。
この時、塩竈市で暮らしているしほの知人の女性のお姉様で、病院のソウジのパート勤務の女性と会った。
ソウジのパート勤務の女性は、心配そうな声でしほに言うた。
「しほさん…」
「あら…(ソウジのパートの女性)さん…」
「しほさん、今仕事が終わったところかな…」
「これから、家に帰るところです…ダンナは札幌へ学会に行っているので…明日までは帰りません…」
「そう…」
ソウジのパートの女性は、心配そうな声でしほにこう言うた。
「しほさん…」
「はい…」
「おととい、塩竃の妹の息子の結婚披露宴に行ったよね…」
「ええ、行きましたけど…」
「しほさん…まさゆきさん…どうして大声を出して大暴動を起こしたのかな…」
「ああ…ごめんなさい…せっかくのお祝いを台無しにしてごめんなさい…」
「それもそうだけど…問題は、まさゆきさんので結婚のことよ。」
「えっ?」
「しほさん…しほさんはまさゆきさんにお嫁さんは必要ないのかな…」
「どういう意味なのかしら!?」
「まさゆきさんはもうすぐ40になるのに、どうしてお嫁さんがいないのかなぁ?」
「どうしてって…今はいないだけで、じっとしていれば、神さまがお嫁さんを選んでくれるわよ…」
「しほさん…あんたはなんでも神頼みにしてほったらかしにしているみたいね。」
「そんな…」
「しほさん…」
しほは、ソウジのパートの女性から言われた言葉にムッと来たので、怒った声でこう言うた。
「ムリ…ムリです…まさゆきは契約社員でお給料が極力少ないから、結婚なんかできません!!」
「それはどうしてなの?」
「できないものはできないのです!!」
「どうしてそうやって決めつけるのよ?」
「決めつけなんかじゃありません!!」
「しほさん…」
「まさはるは正社員だからボーナスと手当がついて安定した収入がある…まさゆきは契約社員でお給料が少ないのよ!!」
「だからまさゆきさんは結婚できないと言いたいわけなのね!!」
ソウジのパートの女性が言うた言葉を聞いたしほは、ますますやっきになっていた。
「まさゆきは正社員じゃないから、収入が不安定で契約書を更新しながらじゃないと会社にいることができないのよの!!お給料は極力少ないのよ!!そんなはした金でどうやってお嫁さんを養って行くのですか!?」
「はした金のお給料の人はお嫁さんが来てくれないと言いたいわけなのね!!」
「ええ、その通りです!!」
「共稼ぎはダメなのかい!?」
「共稼ぎはダメです!!」
「どうしてダメなのよ!?」
「女性の理想は専業主婦志向が多いからよ!!正社員で収入が安定している人じゃないとイヤと言うから話しにならないのよ!!こんなことになるのであれば、大金使って裏口入学で医大へ行かせるべきだった!!ああああああああああ!!サイアクだわ!!」
「しほさん…落ち着いてよ…まさゆきさんが契約社員だから結婚できない…先に結婚した弟さんが正社員だから結婚できるというたわね…つまり、あなたは正社員の人はお嫁さんは来てくれるけど、契約社員の人はお嫁さんが来てくれないからあきらめた方がいいと言うことなのね。」
「ええ、その通りよ!!」
「それじゃあ聞くけど、うちの近所で暮らしているT作くんは製紙工場の契約社員よ…彼は6ヶ月前に好きなカノジョと婚約して、結婚準備をしているのよ…」
「(冷めた声で)ウソよそんなの…」
「ウソじゃないわよ。」
「(ますます冷めた声で)作り話しないで…」
「もう分かったわよ…しほさんがそのように言うのであれば、やめた方がいいみたいねぇ…」
ソウジのパートの女性は、しほにこう言うたあと、大きくため息をついた。
しほの無関心な性格が原因で、このあと恐ろしい悲劇が襲いかかるのであった。