【女の事件】白紙委任
第8話
「もしもし…本人は口もききたくない程にヒヘイしていて仕事ができないと言うているので、当分の間休ませてください!!」
電話の応対をしていたのは、まさはるの妻であった。
まさゆきは、11月6日に本店に行って、本店の人事部長とひどい大ゲンカを起こして職場放棄した。
ことの次第を聞いた上司が心配になって家に電話をかけて来た。
今のまさゆきは、職場だけではなく家庭に対しても強い不満を抱いていた。
なので、今まで蓄積されていた怒りが爆発する危険をはらんでいた。
そのような危機をまねいた理由は、ふたつある。
ひとつは、まさゆきの本店への異動はタテマエでホンネは別の出張所で契約社員を続けるか取引先の会社へ出向のどちらかしかないと思い込んでいる…
そしてもうひとつは、まさゆきが医大の受験に5~6度失敗した時のことであった。
特に、医大の受験に失敗が彼の人生を大きく狂わせた。
そのような元凶は、父親の性格にあった。
父親は、まさゆきに医大合格~立派な医者になれとシツヨウに強要した。
そういう父親がクソタワケタた性格である。
そういった原因は、父親の交友関係や学生時代の友人知人にある。
父親の交遊関係は、大部分がやくざなど反社会的な人間ばかりである…
週刊誌のネタにされて、医師会から強制除名処分を喰らった…
それなのに、悪あがきをしている。
まさゆきは、そんな父親をベッシしている。
話は変わって、11月10日のことであった。
病院の調理場のパートの仕事を終えたしほは、トイレの洗面所にいた。
この時、ソウジのパートの女性と会った。
ソウジのパートの女性は、顔色がものすごく悪いしほに、心配げな表情で言うた。
「しほさん…」
「(ソウジのパート女性)さん…」
「あんたどうしたの?顔色が悪いわよ。」
「ええ…」
「あんたも大変ね…長男は暴対法などでケーサツに逮捕された…ダンナは週刊誌で暴力団関係者との交友関係が報じられたので、医師会から強制除名処分を喰らった…まさゆきさんは先週の金曜日に本店で暴れた…あんた方の家の男たちは、チャイルド以下だからアカンねぇ…」
「ええ…」
「これからどうして行くのかしら…まさゆきさんはまだ若くて元気な体なのに、どこの事業所さんへも行くことができないようね…ますますなさけないわね…」
「まさゆきは今、病気だから体を休ませています。」
「そう…」
ソウジのパートの女性は、ひと間隔を空けてからしほにこう言うた。
「しほさん…ちょいとお話があるのだけどぉ~」
「お話…」
ソウジのパートの女性は、ますます言いにくい声でしほに言うた。
「しほさん…まさかとは思うのだけど…まさゆきさんは、いつからたばこを吸っていたのかなぁ?」
「たばこ?まさゆきは禁煙主義だからたばこはすいませんけど…あなた、急に何を言うのですか?」
「だといいのだけど…」
「失礼ですが、うちのまさゆきがたばこをすっていたと言うコンキョは何でしょうか?」
「コンキョ…もしかしたらアタシ…見間違えていたのかな?」
「あの~…アタシに分かるように説明していただけますか?」
ソウジのパートの女性は、ますます言いにくい声でしほにこう言うた。
「しほさん…もう一つ気になることがあるのだけど…まさゆきさんはいつ頃からマージャンを始めたのかな?」
「えっ?マージャン?すみません…あの~…アタシ…頭がごちゃごちゃになっているのでよくわからないのですが…」
「本当に知らないの?」
「(ソウジのパートの女性)さん、一体どういうわけなのか…分かるように説明してください。」
「そうね…実は、この最近まさゆきさんが勤務している銀行の従業員の男性4人が朝出勤してくるなり、上司に外回りで直接帰宅をすると言うて外へ出たあと、稲荷小路のマージャン店へ遊びに行くところを目撃したのよ…本店の行員だったと思うわ…銀行のバッジをつけた背広を来て、どうどうとマージャン店に入って行くところを見たのよ…お金をあつかう仕事をする人がカケマージャンするなんて、非常識きわまりないわね…4人の上司がバカだから、4人の行員はバカなのよ。」
「そうですか…それを目撃したのは昨日だと言いましたね。」
「えっ?」
「銀行の従業員さんがマージャン店に背広姿で入って行くところを目撃したのは昨日だと言いましたね。」
「そうよ。」
ソウジのパートの女性は、言いにくい声でしほに言うた後、苦笑いをしていた。
しほは、なーんだと思って胸をなでおろした。
2~3日前のことであったが、テレビのワイドショー番組の夕刊チェックのコーナーでまさゆきが勤務していた銀行の太白区内の出張所の経理事務の事務長が、職場のカネを横領してライザップ(スポーツジム)の会費に充てていたことが報じられたので、しほは気になっていた。
ソウジのパートの女性がしほに話した話題は、別のチャンネルで昼1時55分に放送されたワイドショー番組のトップで報じられた話題であった。
ソウジのパートのおばちゃんは、ます声でしほにこう言うた。
「まさかとは思うのだけど…まさゆきさんはまじめだから、マージャン店へ行くことはないよね。」
「その通りです!!うちのまさゆきは、まじめだから、ギャンブルなんか一切しません!!」
「そう…それじゃあ…見間違えたみたいねぇ…」
ソウジのパートの女性は、しほにこう言うたあと、トイレからで出て行った。
11月6日に職場放棄をしたまさゆきは、仙台市内のマージャン店に行って、派手なシャツを着た男のグループたちとかけマージャンをして時間をつぶしていた。
それ以降、まさゆきはマージャン店に入りびたりになっていた。
大量にたばこを吸って、大量にビールをのんで、脂っこい丼ものを食べて、一日中マージャン店に入り浸りになったまさゆきの心は大きく壊れていた。
このあと、恐ろしい事件が次々とつづいて行くのであった。
電話の応対をしていたのは、まさはるの妻であった。
まさゆきは、11月6日に本店に行って、本店の人事部長とひどい大ゲンカを起こして職場放棄した。
ことの次第を聞いた上司が心配になって家に電話をかけて来た。
今のまさゆきは、職場だけではなく家庭に対しても強い不満を抱いていた。
なので、今まで蓄積されていた怒りが爆発する危険をはらんでいた。
そのような危機をまねいた理由は、ふたつある。
ひとつは、まさゆきの本店への異動はタテマエでホンネは別の出張所で契約社員を続けるか取引先の会社へ出向のどちらかしかないと思い込んでいる…
そしてもうひとつは、まさゆきが医大の受験に5~6度失敗した時のことであった。
特に、医大の受験に失敗が彼の人生を大きく狂わせた。
そのような元凶は、父親の性格にあった。
父親は、まさゆきに医大合格~立派な医者になれとシツヨウに強要した。
そういう父親がクソタワケタた性格である。
そういった原因は、父親の交友関係や学生時代の友人知人にある。
父親の交遊関係は、大部分がやくざなど反社会的な人間ばかりである…
週刊誌のネタにされて、医師会から強制除名処分を喰らった…
それなのに、悪あがきをしている。
まさゆきは、そんな父親をベッシしている。
話は変わって、11月10日のことであった。
病院の調理場のパートの仕事を終えたしほは、トイレの洗面所にいた。
この時、ソウジのパートの女性と会った。
ソウジのパートの女性は、顔色がものすごく悪いしほに、心配げな表情で言うた。
「しほさん…」
「(ソウジのパート女性)さん…」
「あんたどうしたの?顔色が悪いわよ。」
「ええ…」
「あんたも大変ね…長男は暴対法などでケーサツに逮捕された…ダンナは週刊誌で暴力団関係者との交友関係が報じられたので、医師会から強制除名処分を喰らった…まさゆきさんは先週の金曜日に本店で暴れた…あんた方の家の男たちは、チャイルド以下だからアカンねぇ…」
「ええ…」
「これからどうして行くのかしら…まさゆきさんはまだ若くて元気な体なのに、どこの事業所さんへも行くことができないようね…ますますなさけないわね…」
「まさゆきは今、病気だから体を休ませています。」
「そう…」
ソウジのパートの女性は、ひと間隔を空けてからしほにこう言うた。
「しほさん…ちょいとお話があるのだけどぉ~」
「お話…」
ソウジのパートの女性は、ますます言いにくい声でしほに言うた。
「しほさん…まさかとは思うのだけど…まさゆきさんは、いつからたばこを吸っていたのかなぁ?」
「たばこ?まさゆきは禁煙主義だからたばこはすいませんけど…あなた、急に何を言うのですか?」
「だといいのだけど…」
「失礼ですが、うちのまさゆきがたばこをすっていたと言うコンキョは何でしょうか?」
「コンキョ…もしかしたらアタシ…見間違えていたのかな?」
「あの~…アタシに分かるように説明していただけますか?」
ソウジのパートの女性は、ますます言いにくい声でしほにこう言うた。
「しほさん…もう一つ気になることがあるのだけど…まさゆきさんはいつ頃からマージャンを始めたのかな?」
「えっ?マージャン?すみません…あの~…アタシ…頭がごちゃごちゃになっているのでよくわからないのですが…」
「本当に知らないの?」
「(ソウジのパートの女性)さん、一体どういうわけなのか…分かるように説明してください。」
「そうね…実は、この最近まさゆきさんが勤務している銀行の従業員の男性4人が朝出勤してくるなり、上司に外回りで直接帰宅をすると言うて外へ出たあと、稲荷小路のマージャン店へ遊びに行くところを目撃したのよ…本店の行員だったと思うわ…銀行のバッジをつけた背広を来て、どうどうとマージャン店に入って行くところを見たのよ…お金をあつかう仕事をする人がカケマージャンするなんて、非常識きわまりないわね…4人の上司がバカだから、4人の行員はバカなのよ。」
「そうですか…それを目撃したのは昨日だと言いましたね。」
「えっ?」
「銀行の従業員さんがマージャン店に背広姿で入って行くところを目撃したのは昨日だと言いましたね。」
「そうよ。」
ソウジのパートの女性は、言いにくい声でしほに言うた後、苦笑いをしていた。
しほは、なーんだと思って胸をなでおろした。
2~3日前のことであったが、テレビのワイドショー番組の夕刊チェックのコーナーでまさゆきが勤務していた銀行の太白区内の出張所の経理事務の事務長が、職場のカネを横領してライザップ(スポーツジム)の会費に充てていたことが報じられたので、しほは気になっていた。
ソウジのパートの女性がしほに話した話題は、別のチャンネルで昼1時55分に放送されたワイドショー番組のトップで報じられた話題であった。
ソウジのパートのおばちゃんは、ます声でしほにこう言うた。
「まさかとは思うのだけど…まさゆきさんはまじめだから、マージャン店へ行くことはないよね。」
「その通りです!!うちのまさゆきは、まじめだから、ギャンブルなんか一切しません!!」
「そう…それじゃあ…見間違えたみたいねぇ…」
ソウジのパートの女性は、しほにこう言うたあと、トイレからで出て行った。
11月6日に職場放棄をしたまさゆきは、仙台市内のマージャン店に行って、派手なシャツを着た男のグループたちとかけマージャンをして時間をつぶしていた。
それ以降、まさゆきはマージャン店に入りびたりになっていた。
大量にたばこを吸って、大量にビールをのんで、脂っこい丼ものを食べて、一日中マージャン店に入り浸りになったまさゆきの心は大きく壊れていた。
このあと、恐ろしい事件が次々とつづいて行くのであった。