ノクターンⅡ

甲板で一緒に夕日を見ていた父が、感心して智くんに言う。
 
「優秀な子供は、こうやって育てるのか。」
 
「お父さんも、育てたじゃないですか。」

智くんは 笑顔で私の肩を抱く。
 

「まあ、そうだね。麻有子は俺に懐いていたから。色々 教えたのは俺だからね。」

得意気に微笑む父に、智くんと私も笑顔になる。
 


船室で食べる食事は 豪華で美味しくて。


ポリネシアンダンスが始まると、絵里加と壮馬は 前に出て 一緒に踊る。


そんな物怖じしない様子も誇らしくて。

絵里加は ダンサーにレイを掛けてもらい お返しにキスをした。


誰も教えていないのに。

智くんと私は 驚いて 顔を見合わせてしまう。
 


「あなた達が、年中キスしているからよ。」

お母様 図星をさされ、二人で顔を赤くする。

お父様は、絵里加を抱き上げて
 
「絵里加姫、ダンスも上手だね。」と言う。
 
「絵里加、バレエを習っているでしょう。上手に踊れるか、試してみたの。」

と絵里加が答える。

絵里加も、ハワイの自由さを感じていたのだと思う。
 


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