ノクターンⅡ
マンションでの生活も便利で楽しかったけれど。
一戸建てに住むことは 私達にとって とても嬉しいことで。
「お父様にも聞いてみてね。何か考えが あるかもしれないから。」
私達が住む といっても、それはお父様の家だから。
「麻有ちゃんには、本当に感心するよ。必ず親父達を気使ってくれるから。」
「あたりまえよ。あんな素敵な家に住めるの、お父様達のおかげだもの。感謝の気持ちを忘れたら、罰が当たるわ。」私が力説すると
「麻有ちゃん“罰が当たる”が口癖。」
智くんは、楽しそうに笑う。
「えっ。ウソ?気付かなかった。でもね 罰が怖くて 感謝しているんじゃないのよ。本当に、ありがたいと思っているからね。」
私は、はっとして言う。
「もちろん、わかっているよ。麻有ちゃんの優しい心。一番、知っているからね。」
智くんは笑顔で、私の頭を撫でてくれる。