ノクターンⅡ
「机は、どれにしようか。」
私は、智くんを見る。
智くんは、ニコッと笑うと
「絵里ちゃん、壮君、ちょっとおいで。」
と二人を呼んだ。
智くんは、二人に選ばせるつもりだった。
「はーい。」
と言って、智くんに駆け寄った二人は ためらいなく智くんの膝に座る。
「絵里ちゃんと、壮君の机だよ。新しいおうちに置くの。どれがいいかな。」
智くんは 絵本を読む時のように 二人に机のカタログを見せる。
「絵里加が決めてもいいの?」
絵里加は 嬉しそうに 智くんを見上げる。
「絵里ちゃんも、壮君も、自分で選んで 大切に使うんだよ。ずっと、大人になるまで使うからね。自分の気に入った物の方が 大切にできるでしょう。」
智くんが 子供達に説明する様子を 深見さんは 感慨深気に見ている。
「絵里加、これがいいな。ここに本が置けるし 引出しもたくさんあるでしょう。」
絵里加が選んだものは カリモク家具のシンプルな白木の机。
「さすが、お目が高い。」深見さんの言葉にみんなで笑ってしまう。
「壮君は、茶色がいい。」
壮馬は、同じ机のブラウン色を選ぶ。
「二人とも、たくさんお勉強するんだよ。」
と智くんに言われる。
子供達は、智くんの膝で 満足気に笑う。