ノクターンⅡ

「この人達には 学ぶところが たくさんありそうね。」

お母様に言われて 智くんと私は 微笑み合う。
 

「そうなんです。お母様 これ見てください。麻有ちゃんが、無駄使いしない理由が わかります。」

1階に戻ったお姉様が、お母様に言う。

冷蔵庫の中を開いて。

きちんと小分けして、種類別に分けた食材。


半分調理して、冷凍した食材。調味料類。

みんなきれいに仕分けして収納してある。

そして、必要以上にストックしない。
 


「すごい。きれい。こういうの、本でしか見たことなかったわ。普通の家でも できるものなのね。」

お母様も 感心してくれる。
 

「ずっと だよね。一人暮らしの頃から。」

智くんは 当たり前のように答える。
 

「この方が、あとが楽だから。結局 横着なんです、私。」

私は 謙遜して言う。
 

「本当に、この人達には 驚かされるわ。いい意味で、だけどね。」

これからは この家にも 気軽に来てもらえる。

ここで みんなと寛ぐことができる。



本当に 智くんと私の城。

ずっと大切に住もう。



いつか 壮馬に譲る日まで。
 
 


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