コンチェルト ~沙織
18
年明けを待って、紀之は沙織の家に来る。
あの日以来、父とはまともに話していない沙織。
元日の夜、父に言う。
「お父さん、明日、紀之さん来るから。私のこと思うなら、失礼のない態度で会って。どうしても嫌なら、私、家を出るから。」
紀之のご両親に会ったことが、沙織を強くした。
あれが親の姿だと思った。
自分の親の態度が悲しかった。
沙織の言葉に、父が何か言う前に、沙織は自分の部屋に戻った。