【短】秘密の6分間
きっと、可愛くて、優しくて、田中くんとお似合いと人なんだろうな、なんて想像してみる。

・・・・・・そうすれば、もともと自分なんて勝ち目がなかったのだと言い聞かせることができるから。


「えー、秘密なの?

その子に、告白するの?やっぱり、彼女にしたい?」


彼は、きっと彼女のことを考えているんだろうな。

目付きがすごく優しいし。


「・・・・・・まあね。そのうち彼女にしたいなって思うし、キスとかだってしたいと思うよ。」


『キスしたい』か。

辛いかなぁ。


「本人は、全然気がついてないみたいなんだけどね。」


「そっか、とんだ鈍感ちゃんだね」


更に彼は愛おしそうな目で、


「そうだね」


なんて呟く。


そんな目で私を見ないで欲しい。頭ではわかっていても、私に向けられているみたいに、勘違いして、キュッと胸が音を立ててしまう。
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop