【短】秘密の6分間
ごめん、調子乗ったよね。
◇
「・・・・・・ごめん。やっぱり、迷惑だったかな」
謝っているのは、昨日、私に告白した田中くんだ。
「岡本さん、さっきもあからさまに避けようとしたし、昨日は、告白したら、いけるなんて言われて、いや、その、調子乗った」
い、いや、ちがうんだよ。田中くん。
さっき、避けようとしてしまったのは、私の心の準備ができてなかったからで・・・・・・。
と、言いたいのに、緊張で固まってしまって田中くんを誤解させるばかり。
「岡本さんの、恋愛対象になれてたかすら分からないのに。ごめんね。」
ううん、どストライクなんです。
カッコよくて、こういう風に、相手の気持ちを考えて行動できる、田中くんのことが好きなんです。
「でも、これからも、仲良くして欲しいな」
焦るような表情で、こちらを綺麗な目が捉える。
きっと、その目には、口をぱくぱくさせる金魚のような私が写っているんだろう。
言いたいのに、うまく言えないのはなんで。
で、でも、言うしかないんだ。