彼の愛は普通じゃない
授業がおわる。
すると音羽くんが私の席にきた。
とても不機嫌そうな表情で。
普段あまり学校では話さないから珍しくてん?と首をかたむけると彼は無理やり私の腕を引っ張った
「ちょっと、どこいくの?!」
聞いても音羽くんは答えてくれない。
連れてこられたのは空き教室だった。
「ドンッ」
両手を音羽くんの左手でひとつにまとめられて体を壁に押し付けられる。
至近距離にくる彼の美しい顔。
サラサラした黒髪に整えられた眉。綺麗な二重のぱっちりとした目。長いまつ毛。鼻筋の通った高い鼻。形が綺麗で血色の良い唇。真っ白でニキビひとつない肌。どこをどうとってもかけている所がない。
心臓がばくばくする。
「ねぇ、隣の男と授業中めっちゃ仲良さそうだったね?なに、あいつのこと好きなの?」
余裕のない表情で言う彼。
「いや、その、それはちがくて、」
「何が違うの?ねぇ、僕じゃ不満?何が足りない?あいつにあって僕にないものって何?」
一気にいろんなことを言われて頭がこんがらがる。
「ねぇ、君の彼氏って誰?」
「お、音羽くん」
「じゃあ君が好きなのは?」
「音羽くん」
その時私が彼を好きかどうかなんてどうでもいいことだった。彼の求めるな答えを言わなければならないと思った。
「じゃあ君は誰のものなの?」
「音羽くんのもの、です」